楽しみにしていた花火大会が、当日の天候や雨の影響で開催されるのかどうか、気になったことはありませんか?
本記事では、花火大会が中止または延期になる際の判断基準や、最終的な開催可否の決定がいつ行われるのかを詳しく解説します。
地域ごとに条件が異なる場合もありますが、一般的な事例をもとにまとめていますので、これから花火大会に出かける際の参考にしてください。
【先に結論】
- 雨天時は洪水や川の増水が判断材料になる
- 強風は風速10メートル前後が中止の目安
- 花火は雷を誘発する可能性があるため注意が必要
基本的には開催を前提に進められる
花火大会を楽しみにしている方にとって、当日の天候は大きな関心事です。
公式サイトやパンフレットで「雨天中止」「荒天中止」「延期」などの記載を見かけることも多いでしょう。
なかには「どうせ中止だろう」と思って会場へ行かなかったところ、夜になって実際に花火が上がっていたと知り、残念な思いをした経験がある方もいるかもしれません。
実際のところ、よほどの悪天候や安全面での懸念がない限り、開催の方向で準備が進められるのが一般的です。
ここからは、花火大会が開催されるかどうかの判断基準や、決定のタイミングについて詳しく解説します。
消防署や警察への正式申請が必要
花火大会は主催者が協賛金を集めさえすれば、簡単に実施できるものではありません。
まず所轄の消防署に、火薬類(煙火)に関する消費許可申請や、消費計画書を提出する必要があります。
さらに警察には、交通規制を行うための道路使用許可を申請します。
これらの申請と並行して、煙火業者と協力し、現地調査や安全管理の打ち合わせを行いながら、関係機関との調整を進めていきます。
周辺施設や土地所有者の同意を得る
打ち上げ会場周辺の危険区域に土地や建物、施設がある場合は、その所有者や管理者の承諾を得る必要があります。
これらの同意が得られない場合、計画通りに花火大会を実施することはできません。
申請内容通りに進まない場合もある
許可申請の内容によっても、開催の可否や対応が変わります。
たとえば、申請が1日限りの場合は荒天時に中止となりますが、予備日を含めた申請であれば雨天延期も可能です。
ただし、これはあくまで申請上の条件であり、主催者の判断や花火業者のスケジュールによっては、必ずしも申請通りに実施されるとは限りません。
雨・風・雷による中止判断のポイント
花火大会当日が雨の場合、「開催されるのか、それとも中止なのか」と迷う方も多いと思います。
しかし実際には、多くの大会で「できる限り開催する」という方向で準備が進められています。
花火大会は、地域の賑わいや観光促進のための大規模イベントであり、中止や延期となれば宿泊施設や観光業への影響が大きくなるからです。
主催者の本音はできる限り開催したい
スポンサー企業にとっても、イベントが実施されなければ協賛の意味を失ってしまうため、主催者や関係者の本音としては、「何としてでも開催したい!!」というのが実情です。
加えて、中止による費用負担や返金対応などの運営面でのリスクも大きいため、簡単には中止の判断を下せない事情もあります。
消防や警察との協議で最終決定される
最終的に中止や延期を判断する基準は、地域の慣例や天候だけで決まるわけではありません。
花火の消費許可申請に基づき、県や消防、警察といった関係機関との協議によって方向性が決定されます。
そのため、主催者単独の判断ではなく、安全性と法令遵守を前提に複数の機関が合意した上で開催の可否が決まります。
大雨や河川の増水が判断材料になる
雨に関しては、「何ミリ以上で中止」という明確な数値基準はないのが一般的です。
大雨警報や洪水警報、または注意報が発令され、安全に打ち上げられないと判断された場合には中止が検討されます。
実際には、土砂降りの中でも強行して実施された例もありますが、河川敷での開催では雨による増水が危険要因となります。
川の水位が上昇し、観覧客やスタッフに危険が及ぶ恐れがある場合も、中止の判断につながります。
また、打ち上げ時点で雨が弱まっていても、事前の気象情報や予測に基づき、主催者と関係機関が協議して中止を決定するケースもあります。
雷の可能性がある場合は安全を最優先
雷注意報が発令されている場合や、落雷の可能性が高いと予測される場合には、中止となることがあります。
火薬類取締法でも「落雷の危険がある場合には、電気雷管や電気導火線を使用する作業は中止すること」と明記されています。
特に、現在主流となっているコンピューター制御の電気点火方式では、雷の接近が確認された段階で中止を決定する場合があります。
落雷事故は観覧者やスタッフの生命を脅かすため、主催者としても安全最優先の判断を行います。
花火大会が雷で中止される理由
雷による中止には、明確な理由があります。
まず花火大会は周囲に高い建物が少ない場所で行われることが多く、雷が人の集まる会場に直撃するリスクが高まります。
また「誘雷」と呼ばれる現象も危険要因です。
これは、花火の打ち上げによって空気中の絶縁性が一時的に弱まり、雷がその軌跡を通って落ちる可能性がある現象です。
高温や金属成分を含む火薬の軌道は電気を通しやすく、雷雲が近くにある状況で打ち上げると落雷の危険性が増すため、安全のため中止となります。
強風時は風速10メートルが目安
強風が予想される場合も、花火大会は中止される可能性があります。
煙火の消費に関する規定では「強風などで危険が予測される場合は使用を中止する」とされており、一般的には風速10メートル以上が10分以上続く場合を基準としています。
この程度の風速になると傘を差すことが難しく、高速道路で車のハンドルが取られるほどの強さです。
台風接近時には、この基準を大幅に上回ることが予想されるため、早期に中止が決定されるケースが多く見られます。
なお、台風の定義は風速17メートル以上です。
開催可否の決定時刻と発表方法
花火大会が中止や延期になる可能性がある場合、実際にいつ最終判断が下されるのかは、多くの人が気になるところです。
この判断時刻は、開催許可申請の段階であらかじめ設定され、申請書に明記されます。
そのため、決定された時刻になると、公式サイトや自動音声案内、SNSなどを通じて開催の有無が発表されます。
観覧予定者が主催者へ直接問い合わせても、判断時刻前には正式な結論は出ていないことがほとんどです。
発表前の段階では、会場や関係機関が天候や安全状況を慎重に見極めているため、正式なアナウンスを待つことが大切です。
混乱を避けるためにも、公式な発表を確認してから行動するようにしましょう。
順延ではなく中止が選ばれる理由
花火大会が延期されずに中止になる背景には、いくつかの現実的な理由があります。
夏の時期は全国各地で多くの花火大会が予定されており、日程をずらすと別の大会と重なる可能性が高まります。
他イベントとの重複は来場者の分散を招き、運営や警備にも支障が出るおそれがあります。
また、秋や冬に延期すると、気温低下によって観客の集客が難しくなる傾向があります。
さらに空気が乾燥する季節では火災リスクが高まり、安全面の理由からも開催が困難です。
こうした事情により、多くの大会では順延よりも中止が選ばれることが多くなっています。
打ち上げ途中で中止・中断される場合
花火大会がすでに始まっていても、急きょ中止となる場合があります。
中止に至る具体的なケース
代表的な例としては、突然の激しい雷雨で会場や周辺が冠水する恐れが出た場合や、局地的な豪雨が発生した場合があります。
また、打ち上げ中に事故が発生して負傷者が出た場合や、その後の安全確保が難しいと判断された場合には、消防や警察の指示で中止になることがあります。
さらに観覧者が極端に集中し、安全な誘導ができないと判断された場合も、中止の決定が下されます。
加えて、いわゆる「大人の事情」による主催者側の都合で中止されるケースも存在します。
一時中断される主な理由
打ち上げの最中でも、状況によっては一時的な中断が行われることがあります。
立入禁止区域に観客が侵入した場合や、観覧禁止エリアでの鑑賞が確認された場合です。
また、火災の発生や打ち上げ装置の不具合など、安全確認のために中断が必要になることもあります。
さらに、煙が風で流れず滞留して視界を遮る場合には、「煙待ち」と呼ばれる一時中断が行われます。
会場内で負傷者が出た場合の救護活動のために中断することもあり、これらは観客の安全を守るための措置です。
こうした中断や中止は、多くの場合、観客一人ひとりのマナーや行動で防ぐことが可能です。
小さな迷惑行為でも、大会の進行や他の観客の楽しみを損ねる恐れがあるため、観覧時はルールを守る姿勢が求められます。
まとめ
花火大会の中止や中断の判断は、主催者だけでなく、消防・警察・自治体などの関係機関との協議によって決定されます。
特に有料観覧席がある場合は、事前にチケットの返金やキャンセル条件を確認しておくことが重要です。
中止時に返金がないケースもあるため、購入時には条件を理解した上で判断することが求められます。
また、これらの判断には消費者契約法や、民法第536条などの法令も関係する場合があります。
花火を安全に楽しむためには、主催者や関係機関の決定に従い、観客側もマナーを守ることが大切です。
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